2020年に見て勇気づけられたアニメの感想
個人的な感想です
pre. 感情
僕は大学を中退し、就活に失敗し、療養しながら地元の大学に通って 23 卒(そのとき 26 歳予定)という状況なので、よく悩み、よく絶望し、それでも希望を持ちながら絶対ここから這い上がってやるぞという気持ちで毎日を暮らしています。そうして気を張って暮らしていると当然感情の弾切れが発生します。最近はふんわりと将来や社会に対してもっと雑な気分で接してもいいな(どっか受け入れてくれるところはあるやろ)と思えるようになってきましたが、やはりやる気、気力、これらが枯渇することはよくあります。やる気がない状態でも健康だと言うことができるかもしれないですが、例えば日常生活を送るのが困難なほど元気がなければそれは健康ではありません。そういう観点から、僕の中で採用している「健康」の尺度は「やりたいこと/やらなきゃいけないこと、自分の決めた次の動作に移るときにコストがほとんどかからない」です。課題やりたくないなだるい〜となったら、次の動作にコストがかかっている状態ですから、部屋の空気の入れ替えをしてみたり、外に散歩にでかけたりしてなにかしら心の健康につながることができないか考えます。
前置きが長くなりました。そういった経緯から、アニメを見る時は僕にとってかなり心が追い詰められているときです。助けて!みたいな感情でアニメを見るので、必然的にアニメの評価は大きく振れます。僕が作品をオーバー気味に評価して「はいふりは最高傑作」とか言っているのは嘘ではなく、まじでそのとき心に来て涙を流したからそう言っています。20 代をとうに超えているがいい作品をいいタイミングで見ると本当に涙が止まりません。日本のコンテンツは本当に僕に合っている。この時代、この場所に生きていてよかったし、まだ見ぬ物語が世の中にたくさんあると思うと d アニメの契約をやめることができません。
それでは今年たくさん見たアニメの中で勇気づけられたものを 3 つ書いていきます。
1. SHOW BY ROCK!!ましゅまいれっしゅ!!
東京に住んでいた時、小田急側から通っていたので渋谷よりも下北沢に愛着があります。ましゅまいれっしゅの 1 話とか見るとバチバチに分かるんですが舞台は下北沢ではないですか?一度下北に見えてしまうとバンドメンバーが食事しているところも下北か渋谷に見えてくるしいろいろ思い出して音楽っていいなあとなります。
ヒロメネス回がつらくて、ヒメコの「すごい、すごいと言っていた人はみんないなくなった」という叫びが刺さって、そこからの独白もとてもつらい。誰かと一緒にいるということは軋轢を生み、失敗を生み、そして傷ついてもうひとりが楽だと思う。それはすごい思い当たるところが多くて、とても心に深く刺さり、ヒメコが「ほわんにも裏切られたら嫌だ」という切々とした気持ちから、それでもずっと一緒にいたいと思うところが本当に好きです。人はぎりぎりのところでやっぱり信じる方向に行ってほしいし、そういう祈りのようなものの根源を見たような気持ちになりました。その後にましまフレッシュ…とデルミンがつぶやいてましゅまいれっしゅに名前が決まるところまで、流れがきれいで美しくて、君のラプソディーが流れて最高のエンディングです。その後の話も好きでライブ前のとことか涙だだもれなんですが、僕はやっぱりヒロメネス回が最高に好きですね。
2. トニカクカワイイ
結婚するっていいなとストレートに思いました。
僕たちは勉強ができない、五等分の花嫁のように、すごいガリ勉が女の子と仲良くなる話が好きです。現実はそううまくは行きませんが。本作は成績優秀を超えて経営のできるドラえもんみたいな感じのする主人公なんですが…なんというかカテゴリとしては別な気もしますが、僕も青春をドブに捨てて数学だけをしていた人間なので勉強しまくっている序盤の主人公に共感して見始めたところがあります。あと Yunomi が担当する OP が最高によい。聴いて 5 秒後に購入していました。歌詞とメロディと世界観が日本の昔話を別視点から編纂し直した感じがありとても好きです。この速度で歌い切る司さん役の鬼頭明里さんもすごいです。
本作は昭和感があってうる星やつらとかめぞん一刻の時代の風情を感じる現代作って感じがします。でもお話が古いことはなくて、なんだろう、ギャグのテンポがそう感じるのかな。とても安心してアニメを見るボタンを押せて、非常にこころに優しい。とはいえこの時代に結婚をテーマに描いているのはとてもおもしろくて、「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」というゼクシィのキャッチコピーを思い出しました。価値観が多様化するとどうしても旧来の価値観を劣ったものとして見てしまいがちです。それでも結婚という一つの形に対しありきたりなようでいてそうではない物語を提示することで、あぁ、結婚するっていいなあと思わせてくれるような作品になっているのは本当に素晴らしいなと感じました。
人を思うということ、大事にするということ、離したくないと思うこと、ずっと一緒にいたいと願うこと、ともに時間を過ごし重ねていくこと、これらが非常に愛のある中で展開されると自分が取りこぼしてきたものを感じて涙が出ます。いつか僕も幸せになりたい。彼女欲しい。結婚したい。夏祭りに行ったり旅行したりしたい。
3. Re:ゼロから始める異世界生活
Stay Alive という 1 期の後半の ED 曲に本当に心底惚れてしまって何度も聴いていました。エミリア役の高橋李依さんのボーカルが最高で、1 期の後半の、主人公スバルと心も距離も離れている状態のエミリアを彷彿とさせる歌詞が非常に切なくて心に突き刺さります。僕は切ないお話が大好きなのでもうなんべんも聴いてしまいますね…今年この曲に出会えたことで間違いなく人生が豊かになりました。ありがたいことです。
Stay Alive のことをずっと「生きて」という意味だと思っていて、スバルが何度も死に戻りを繰り返しても生きて欲しいという意味に捉えていました。しかし今年の 5 月の、LOUNGE NEO での暴力的にカワイイという DJ ライブを Twitch で見ていて、TEMPLIME が Stay Alive remix を「ラウンジ NEO がなくなっても、NEO に育てられた僕たちは生き続けていきます」という意味で流していたのを見て、Stay Alive って生き続けるという意味かぁ〜と知りました。解釈によるとは思うのでどちらも、これ以外の解釈も大事にしたくて、僕にとってこの 2 つの解釈はどちらも勇気づけてくれる大切な解釈になっています。
生きてという解釈をしていた僕は、主人公のスバルの絶望的すぎる状況と、そこから這い上がることに自分を重ねて感情移入してしまって勝手に元気をもらっていました。精神科に通って薬をもらって、劇的に自分の悩みが軽くなると、やっぱり僕は生物の教科書で習ったように、脳内の物質で心がコントロールされていて心は表象にしかすぎないのかもしれない、僕は一体何を悩んでいるんだろうかと悟りを開きます。所詮人生は回り道、生きていること自体が、生きている意味が、ここにいる理由がよくわからなくなってきます。そうなるともうお手上げで、目の前の課題も、就活も、将来も全部投げ出して山に籠もりたくなってしまいます。そういうときに Stay Alive を聴いて、生きてというメッセージを勝手に受け取り、助かります。化物語の忍野が言うように、人は勝手に助かるのです。
そして、生き続けるという解釈も僕にとって大きな意味を持っています。リゼロから学んだことはたくさんありますが、「物語は終わらなくて、アニメを見終えた後も僕は生き続けるしお話は終わらない」というのもその一つです。あれだけ劇的な物語を見終えるとなんだか自分の人生もワンステージクリアした気分になっちゃうのですが、現実はそんなことはなくて何一つ僕の状況は変わりません。感動的な物語も、絶望的なお話も、それが終わろうと人生は続いていきます。だから僕はここでアニメを見ることは無価値だと主張したいわけではなく、アニメを見た後の自分と見る前の自分がなにか違っていてほしいと願うわけです。それは気力かもしれないし、元気かもしれないし、現実に対するあきらめからくる着地点の発見かもしれない。それでもとにかく生き続けるということが、今年の僕にとっては大きな意味を持ちました。
しかし 2 期はつらかったですね、原作読んだので知ってはいても手詰まり感がすごくてもうこれは無理だろう、スバルはここで終わるんだという気持ちになりました。ちょうどこの時期インターンに行っていたので全然タスクが終わらないところと重なり感情移入して絶望していましたが、1 期ですっかり絶望に慣れが生じてしまっていて絶望しつつもリゼロ最高!という気持ちでつらくなりながらアニメを楽しく見ることができました。特に 2 期前半では病みリアさんがかわいかったので非常によかったですね。2 期後半が来年あるので非常に楽しみです。
pro. 終わりに
呪術廻戦とかデカダンスも好きです。今年は自分に合うアニメとたくさん出会えたので、来年もよい年になるといいな。