読んだ漫画の感想文 山田と加瀬さん。 と 欠けた月とドーナッツ

  • 部屋の大掃除で読んだ百合漫画 2020 という記事を読んで、おっこれは楽しそうと思った 2 冊の漫画 1 巻ずつ Kindle で買いました。自分にとって両極端に振れていて面白かったので個人的な感想文を書こうと思います。百合にはあまり造形が深くない限界型男子大学生による感想文になります。
  • ネタバレとかあまり気にせず、しかも自己解釈で書いていくので、気になる方はごめんなさい。

山田と加瀬さん。

  • これタイトル見たときからずっと気になっているんですが、この加瀬さんは「朝顔と加瀬さん」の加瀬さんですか…?僕はアニメすきすきオタクなのでタイトル見た瞬間これは僕が d アニメストアでいつか見ようと思っているやつだと直感が訴えかけてきました。真相は d アニメで確かめようと思います。
  • 本題に入ります。冒頭から山田がかわいいです。園芸を専門とする女子大に通う田舎からやってきた女の子の時点で応援したくなるキャラクター完成されてますね…僕が田舎から上京したときの心細さ、飲み会でビクビクするシーン、共感しすぎてやばかったが俺はこんなにかわいい女の子ではなかった…
  • 優しくて、周りの流れに流されやすいというところが加瀬さんから見て山田がちょうちょのように見える所以なのかもしれませんね。でも恋人としてはよいスパイスなんじゃないでしょうか?構図として、加瀬さんがモテモテ!!!山田は不安になるがそこを加瀬さんがすかさずフォローーー!!!イケメン!!!みたいな展開かと思っていたので、不安になった山田が加瀬さんを振り切って合コンに向かい、そこに心配でたまらなくなった加瀬さんが乗り込むというのは新鮮に思ったし、構図としては山田も加瀬さんも対等に不安で、対等にお互いのことがたまらなく好きというところが最高です。
  • あと山田のはじめての友達!名前忘れてしまった、この子も個性強くていいですね。この子の将来の展開が気になります。
  • 全体的に見ると、絵がきれいで特に目が非常に美しいと感じました。きらきらする女の子っていいな、いいなァーーー!まじで心置きなく安心して見れるタイプで、後述する欠けた月とドーナッツと比較すると、あんまり元気がなくて自分の心に癒やしを補給したいときに読み返しそうな気がします。というか絵がきれいすぎて絵を眺めているだけで元気湧いてくる。

欠けた月とドーナッツ

  • こちらは対象的に大人の絵柄で、かわいい!ふんわり!というより少し物語もビターな感じです。
  • 百合のよさを僕は深く知らないのですが、自分の中では「制約による思いの強化」があると思っています。例えば駆け落ちが物語となり映画になる時代においては男女がお見合いにより結婚するのが当たり前で自由恋愛が暗黙のうちに禁止されているという制約があるからこそ燃え上がる恋という形があったはずです。現在においてそれを楽しむのは、ある意味歴史に思いを馳せないと難しい。この点で恋愛物は時代性を伴っています。つまるところ、今しか楽しめない物語を僕たちはこの時代に楽しんでいるということです。
  • 特に百合というテーマは時代の狭間にあると思っていて、少し前なら受け入れられる土壌がなく、これから先はおそらく女性同士の恋愛は当たり前になり、本作の主人公 宇野さん のように結婚しなくちゃ、素敵な男性と恋愛しなきゃ!という重圧は解かれるものだと思っています。つまり、百合は今が一番時代的に楽しめる!!今読むんだ!!!
  • 本題に入ります。個人的に僕は結構ひとりでもなんとも思わないので佐藤さんサイドの人間で、あまり主人公のつらさに共感できるところはなかったのですが、高校のときの女子から聞いた愚痴とか思い出すと、いろいろめんどくさいものが人に囲まれている華やかな女性にはつきまとうのかな〜という想像がつきます。とはいえ、何もかも共感できず理解できないわけではなく、多かれ少なかれ皆誰かの顔色を伺って生きていて、息苦しさを感じたりしていることはあるはずです。そういう息苦しさは、周りの価値観(本作で教科書と述べられているところ)に基づいた自分の世界を考えるときに発生し、あーやだ、なんか私はいったいどうしたらいいんでしょう?という気持ちになるわけです。自分の人生の手綱を自ら手放しているとき、指針となるものは自分の中にないわけですから、誰かに求めたくなってしまう。
  • そこで宇野さんが こんな私はどうしたらいいんでしょうか と佐藤さんに零したときの佐藤さんの返答が素敵で、お互いの部屋の片付けを各々やりましょうと具体的な提案をするわけです。佐藤さんらしいですよね。ふわっとしたことを言わない。
  • 結局本作では最後に主人公の宇野さんは自らと佐藤さんの間に積み上げてきたひとつひとつのありきたりな、それでいておそらく彼女にとって、それして佐藤さんにとっても大切な、ちょっとしたきらめきを持つ思い出に救われるわけです。
  • 本作は結構刺さるところは刺さる感じのお話なので、山田と加瀬さん。と比べて頭と心がシャッキリしているときに読みたいですね。個人的に深く考えるお話は好きなので欠けた月とドーナッツに軍配が上がりますが、どちらもそれぞれの個性を放つ作品で素敵です。

まとめ

  • 恋をする女の子はかわいい。悩みもがき続けてその先に救いを見出す女性は美しい。以上です。