HoneyComeBearのRevolverについての考察
HoneyComeBear という最高のアーティストがいて、そのアーティストが夏が来たことを知らせてくれました。
その新曲、Revolver という曲について考察と感想を書いていきます。個人ブログなので好き勝手していきます。間違っていても怒らないでね。
以下、曲を最後まで見た前提で書きます。
概要
黄色の髪の子、赤い髪の子、青い髪の子の 3 人が登場する。黄の子は赤の子が好きだが、赤の子は青の子と仲良くしていて、そこで黄の子は青の子をナイフでアーッして青の子の代わりとして赤の子と仲良くなろうとした。赤の子は黄の子に青の子を重ねて一緒に過ごしていたが、黄の子が青の子をアーッしたのは分かっていたので、許せなくて学校の屋上でリボルバーを黄の子に突き付けるが、赤の子は最後はリボルバーを自分に向けて引き金を引いた。
そして、赤の子は天国で青の子と一緒になることができた。
トピック
登場人物は 3 人以外にもいるがなぜ顔に「ー」のマークの紙を貼っているのか
赤の子と青の子は、周りの人間がすべて同じように見えてしまうほどお互いのことが大切で唯一無二の存在だったのではないかと思っています。系統は違いますが、聲の形で周りの人間の顔にバツがのる演出と似ていると感じました。
リボルバーの引き金を引いたときの背景色の変化
リボルバーの引き金を引くシーンで、背景色が赤から青に変化します。このタイミングかなりすごくて、アニメーションは逆再生されてその境目は鈴の音が入っていてきれいに音と映像がぴったりハマっています。
この赤から青への変化は、単純に夕方の赤から天国の青空へ変化したという解釈がまず可能かなと思います。最後の上は赤の子と青の子がいて下は赤の子と黄の子がいるシーンでも上は青空で下が赤い夕焼けなので天国サイドは青空なのかなと思いました。歌詞の最後の「空が青い」はリボルバーの引き金を引いた後の話なのでこの解釈は通りそうです。
もうひとつ、赤の子が青の子の元に向かったという意味での赤から青という線もありそうで、こちらは割と分かりやすい感じなのでそれもありそうです。
モノクロになるシーンについて
序盤のモノクロシーンは赤の子と青の子の思い出に見えますが、これらはすべて黄の子と過ごす間に重ね合わせているものであることに注意します。これは実際の思い出ではなく、黄の子に青の子を重ねて見ている架空の思い出として見るのがおそらく適切で、リボルバーの引き金を引いた後のカラーでの赤の子と青の子のシーンが流れるところ、これが本物の過去です。ただ、学校の屋上で指輪のシーンと黄の子が青の子をアーッするシーンはモノクロですが重ね合わせていないので真の過去だと思います。
ただ、リボルバーを引いた後に流れるものが天国での様子なのではないかという線もありそうです。レトロなグリッチ表現がかけてあるので、僕は本物の過去、思い出がそこで流れていると思っています。
ただ、リボルバーの引き金を引いた後に流れるシーンでワンシーンだけ灰色の顔がマイナスの紙でおおわれたおそらく黄の子が登場するんですよね。ここは謎です。
指輪の持つ意味
指輪はこの世界でどういった意味を持つのでしょう?
初めは青の子に指輪を見せたら喜んだのに黄の子だと焦りの表情が浮かぶことが不思議で、この世界では指輪が自身の証明を表しているのかなと考えていました。この線で考えてみます。仮に、指輪がその人を表現するのなら、もしかしたら黄の子は青の子の指輪を奪い取ることで完全に青の子になりすまして暮らすことが可能なのかもしれません。そうすれば、なぜ黄の子が奪い取った指輪を赤の子の目の前でつけているかも説明がつきます。黄の子は、赤の子を完全に騙して自身を青の子のように見せかけているという自信があるわけです。もしかしたら、周りの人間たちも誰も青の子が亡くなったと気づかないのかもしれません。でも赤の子は最初に指輪を見た時にもう気づいているわけです。それでも青の子として黄の子に騙されたふりをして、喜ばせて、喜ばせて、そして一番苦しむタイミングで自分を撃ち抜く。誰も彼もが黄の子を青の子だと思っていても、私だけはその嘘を知っている。ここが「私だけ晴らせる嘘」につながるわけです。
という考察をしていたんですが、最初のシーンで黄の子が赤の子に話しかけているところは、黄の子が少しうつむいてためらうモーションが入っているのでなんとなく違う線のような気もします。分からん。
指輪自体の意味から追うと、おそらくここでは「誓い」のような意味を持っていると思います。二人ずっと一緒にいようという結婚指輪のような意味合いなんじゃないかと。指輪の色的に、赤の子は青(水色)の指輪を、青の子(黄の子)は赤(ピンク)の指輪を持っていて、お互い相手の色の指輪を持っているところも意味がありそうです。
鳥かごの持つ意味
サビ(ドロップ)が 2 回来るんですが、初回サビで鳥かごのシーンが登場します。鳥かごに触れた後に「だけど私は、許せなかったの」が来るところは、おそらく何か意味がありそうです。
鳥かごが自分の部屋のような場所にあることから、近くて大切なものが鳥で、鳥は青の子を指していると思いました。飛び立って空になった鳥かごが、天国に行ってしまった青の子を指していて、その空っぽになってしまった鳥かごに触れてだけど私は許せなかった、と赤の子が決意をしているのだと解釈しています。
鳥居と五重塔というモチーフ
これ HoneyComeBear の MV にたびたび登場するし今回も学校の屋上から見えるので何か意味があるんでは?MV 間つながりも考えたけどパッと出てきませんでした。
これらを踏まえてオタク語り
これ思い切り黄の子が悪人なんですが黄の子サイドから考えてみます。
黄の子は青の子が好きですが、おそらく歌詞には黄の子サイドの感情は現れていません。でも想像すると、アーッをしないまでも嫉妬して好きな子が仲良くしている友人にいじわるしてしまうということはこの年代の子にはよくあることだと思います。この世界での感覚は分かりませんが、黄の子は本当に報われないというか、自分勝手に欲しいものを手に入れようとしてアーッまでしたのに、一番苦しい方法を赤の子にとられてしまうところがとっても切ないです。
次に青の子サイドを考えます。青の子はもうすでに亡くなっているため感情は歌詞に現れていませんが、「単純で無垢な君だから」あたりは青の子に関する記述と思われます。単純で無垢、優しくて初心、といった形容からすでに切なさが出てきます。青の子切ないね。赤の子は割と無気力に見えるのですが、リボルバーの引き金を引いた後はいい笑顔しているので、たぶん赤の子にとって青の子は世界が変わるほどに大切な相手だったんだろうな、ということが推測されてほんとにしんどいです。黄の子許せんな。でも黄の子も悲しいんだよな。
最後に赤の子サイドを考えます。この子は結局、黄の子に対し復讐がしたかったのでしょうか?個人的に復讐という語では収まりきらない感情のデカさを感じて何も言えなくなってしまいます。「単純で無垢な君だから 君だから」、と「君だから」を重ねていて、「君の手を」も重ねていて、ここでの君、青の子に対する繰り返して強調しているところがとても切ないです。進路希望が白紙のままなのは青の子、君がいないからで…もうだめです、考えるだけで涙が出てきてどうしようもなくなってきます。
これらを踏まえてサビの歌詞を見ましょう。青の子にはもう出逢えないと知っていても、一縷の望みのような、希望としての蜘蛛の糸、本来、芥川龍之介の蜘蛛の糸では地獄から極楽に向かう唯一の道としての蜘蛛の糸が、届くことなく希望のない毎日を過ごしても、ずっと悪い夢が絶え間なく続いても、赤の子は黄の子が許せなかった。本来、赤の子は青の子が亡くなったと知った時点で世界が色を失っているはずですぐに後を追ってもいいはずなんですが、無気力に生きているのはおそらく Revolver で自分を最高のタイミングで撃ち抜く機会をずっと伺っていたからなんだろうと推測して涙が出てきます。だからこそ、涙を噛んでリボルバーをずっと隠して、わくわくする話を切り出したのでしょう。つらい。
こんなにドロドロとしていてつらく切ない歌詞を持ってきているのに、それでも夏を感じるメロディー、透き通った歌声、爽快な切なさ、ここに HoneyComeBear の芯が見えます。職人のようにひたむきに作品作りに向き合うことで毎曲新しい世界を見せてくれる、そんな HoneyComeBear が僕はこれまでもこれからもずっとずっと大好きです。