[感想] traP LT 2022 これすき6選

traP LT 2022 が 2022/03/27 に開催されました。

僕は traP の人ではないのですが、個人的に traP が好きなので直近で一番楽しみにしていたイベントでした。そこで、全 14 本の LT のうち僕が特にこれすきと思った 6 本について感想を書きます。

Youtube Live アーカイブ が残っていて、スライドのリンクが connpass の各 Talk にあるので見てみましょう。

Talk 2: プログラミング未経験で traP に入って Google のインターンに参加できるまでになりました / @oribe (18B)

oribe さんはたまに Twitter くんがこの人もフォローしようぜとサジェストしてくるので一方的に「Google インターンに行った ISUCON 周りも強いガチプロ」という印象を持っていました。sappi_red さんとセットで無敵をしている印象があって、おそらく CPCTF2021 を実現させたスコアサーバー の記事の印象が強かったんだと思います。

今回の LT は時系列に沿っていることで oribe さんの像が見えて「こういう人が traP でこういう体験を積み重ねてきたんだ!」という流れが伝わりやすかったところが素晴らしいなと感じました。emoine でも、oribe さんは言語化がうまいとか、分からないところをはっきりさせるのがうまい、と言った oribe さんの特性に対するコメントが見られたのはその分かりやすさによるところもありそうです。

内容に触れると、おそらく STEP と ISUCON がかなり転機かなと聞いていて思いました。

STEP に関して、「Googler の方が Chrome のキャッシュアルゴリズムはこういう感じで〜というように解説してくれて今後コンピュータ・サイエンスを学ぶモチベーションが上がった」という点が印象的でした。僕の友人で STEP に行った人はやばい速度で成長をしている印象があり、以前から STEP 相当の教育効果をうちのサークルで出せないかと思って公開リポジトリや公開ツイートを探して学ぶ内容を把握はしていたのですが、この「モチベに作用する」という点は憧れるレベルですごい人にしかできなくて、僕には提供できないものだったので衝撃を受けると同時に納得もしました。

ISUCON に関して、「去年はダメだったけど今年は行けた」というような、前回の悔しさを覚えている点が印象的でした。CyberAgent でのインターンでコード書くの速いねとか問題の切り分けができるねという評価をもらって成長を実感したところもそうですが、以前の悔しさを忘れずに何かの拍子にリベンジできた時に喜ぶという姿勢がいいなと思いました。割と僕は投げっぱなしのプロジェクトが多くて深く学ぶということができてなくて悩んでいたのですが、方向性として、何かの拍子に前できなかったことができていると実感する機会というものは自分ができるという自信とより深く学ぼうというモチベーションに作用するので、ヒントをもらえた気がして良かったです。

Talk 10: 『星のカービィ ディスカバリー』をべた褒めする / @d_etteiu8383 (19B)

でっていうさんはグラフィックや 3D が得意な方という印象です。僕が記憶にある記事だと 【4/28 開催】モデリング体験会の案内 とか あの日見た書体の名前を僕たちはまだ知らない。 とか 部内ショートプレゼン会「らん ☆ ぷろ」の紹介【新歓ブログリレー 12 日目】 とか Spotify で今年聴いた曲全部見る で、特にモデリングの人みたいなイメージでした。あんまり素性は分からないのでこの LT で声聞けるやんと思って楽しみにしてました。結論から言うと声良かったですね、TL の人間大抵声いいのなんでや。

今回の LT は「LT として完成されていた」と言う点が素晴らしかったと思います。僕はゲームを小さい頃からやらない環境にいたのでゲームに疎いのですが、それでも知見を得たと思えるような面白い話、ためになる話がいっぱい詰まっていて、かつ分量も LT サイズで完成度としては 14 本の LT の中で抜群に高かったです。

裏でうちのサークルの人と感想を言い合ったりしていたのですが、話していた相手は広島大学ゲーム制作同好会(GSD)にも所属している人だったのでゲームに詳しい人の感想も聞けて面白かったです。やっぱりゲームをたくさんしている人は分析も深くなるとのことで、この LT からはすぐに見えないが裏にはでっていうさんが大量に積んできた経験あっての分析なんだろうなと思いました。

内容に触れると、はい/いいえを徹底的に排除しているのところと、探すアイテムが残り何個か表示するのを探す楽しみという観点からデザインする、の 2 点が印象的でした。はい/いいえはデザイン的な話で僕もふわっと考えたことがあったので、これを実現している人がいるのか、やるなあと感じました。あとはゲームの表示のデザインについても、デザインって判断軸が「なんとなく快適になるようにしよう」と僕は思いがちで、そこを「このタイプの楽しみをここではユーザに味わってほしいから、こうデザインするとストレスがない」という徹底的に考え抜かれている様子が分かりやすく伝わってきて勉強になりました。

Talk 14: APEX Legends にハマっています / @to-hutohu (16B)

僕 APEX Legends やらないので何をしようとしているのか全く分からなかったのですが、これは腕力がやばい、総合格闘技のプロ、ハイパー全方位できる人間ということがありありと伝わってくる発表でとても好きでした。

とーふとふさんは traP の強い人という印象で ISUCON9 予選 1 日目で最高スコアを出しました とか PISCON ポータルを作った の記事の印象が強く、フルスタックにフロントエンドからバックエンドからインフラからセキュリティまで見れますという人だと認識しています。また traP にいた人からはとーふとふさんはリーダーとしての気質があってこういう人が将来社長になるんだなぁと思ったという話を聞いていて、以前 Space で会話した時もサークルについて非常によく考えて動いている人で対人やチームといったソフトなスキルもかなりある人だと感じていました。一方で最近は VTuber すきすき bot として VTuber と結婚したい、などの主張も見られてそんなめちゃすごい雰囲気もなく接しやすい方だなあと思っています。え、書き出してみたらただの最強人間じゃん…。

LT の内容としては、TypeScript と React が使えます、画像処理をします、wasm や Emscripten が使えます、大量の機能を実装できますという感じで全方位に最強なことが激しく伝わってきて面白かったです。kaz さんの発表もそうでしたが traP 感がある。ただ LT がかなり夜になってしまっていて、うちのサークルでやっていた同時視聴会では寝落ちしていて聞き逃した人も出ていて面白かったです。V の話か?ネタ枠か?と思わせておいて色々な憶測を打ち破ってくるところも含めてとてもエンターテイメントとして楽しめました。

Talk 12: IME 自作のススメ 〜Rust で「エンジニアお断り IME」を作ろう!〜 / @toshi00 (20B)

これネタ枠優勝でした。IME と Rust というところからかなり技術的な期待が高まるし、これまでの発表も多くが真面目に振っていたので当然次もそうだろうという期待をいい感じに超えてきてバカウケしてました。

オンライン LT でネタに振るのってかなりオンサイトと比べて苦しくて、反応が見えないので独りよがりになりがちなんですよね。その点 emoine は素晴らしいと思っていて、スタンプで草が生やせて聞いている側もこれ面白い!という流れに乗っかることができていいなと思いました。これは本当に emoine の力も効いていると思います。でも発表者からは emoine の様子が見えてなかったりするのかな?ウケ狙ってやりきったところは本当に素晴らしいと思います。すごい。

なんといっても TypoIME の発想の勝利がすごい!toshi00 さんは僕は存じ上げなくてどんな人か知らないのですが、ユーザー名も 00 とかタイポしやすそうなの入っているしどこまで準備されてきたんだろうと思うくらいいい感じでとても面白かったです。導入もわかりやすいし、そこからえ?これ??みたいなプロダクトを繰り出してくるのも最高でした。

競プロの A 問題レベルを TypoIME 使って早解き対決するみたいなネタとか、面白そうなことができそうなので Linux の VM とかで使ってみたいですね。(流石に直に自分の PC に入れたくない…) このアイデアを参考にしたいなと感じました。

Talk 11: GenORM 実装解説 / @mazrean (19B)

僕は現役 traPer の中で mazrean さんが一番推しなのでこの発表を一番の楽しみにしていました。(引退も含めた全体だとうぃにおんさんが一番好きです)

mazrean さんの traP ブログの記事は全部読んでいるんですが、やっぱり 百合漫画の勧め が一番好きですね。というかこの記事を読んで mazrean さんいいな!と思ったまである。(僕は百合に造詣が深くなくて、作品の一ジャンルとして楽しんでいるくらいです ref. 過去に読んだ百合漫画の僕の記事)

百合の話がしたいので LT と関係なく続けます。traP の百合漫画の勧め記事で「同性という明確な壁を乗り越えて恋愛に至る登場人物の感情の機微が好き」というところが共感できてこの主張でいいね :+1: になっていました。

以前僕がしたツイートです

昔の駆け落ちする物語を見ても、今は自由に恋愛することが普通なので駆け落ち部分の葛藤を真に理解することが難しいように、いずれ同性同士の恋愛が今よりもっと普通になった場合に、百合の物語で主人公がいやいや私はそんなんじゃないと葛藤する様を真に理解することが難しくなる時代が来るのだろうか

僕もその感情の動きが魅力的で、かつそれは今の時代性のもと成立しているからこそ今しか楽しめないジャンルなんじゃないか?と思っているから百合というジャンルが素晴らしいものだと思っています。

気を取り直します。この LT は zenn やリポジトリを見に行った人にとっても新しい情報が含まれているという点が素晴らしかったです。特に型推論部分によって余計な注釈を入れず楽にクエリを組み立てられるところが GenORM の売りかなと感じていたのでその辺りが深く説明されていたのは良かったですね。

mazrean さんのリポジトリはマジで読めば勉強になるので読んでいこうと思いました。これからも推していきたいです。

Talk 8: 社会人における趣味進捗 / @hukuda222 (16B)

hukuda さんはチョンボから存在をちょうど最近聞いていたので気になっていました。PVP の人なのかな?TL によく hukuda という文字列が(david さんとかから)流れるがどの人なのかいまだにわかっていません。謎の研究員さんというイメージです。

この人の LT 力強くてとても良かったですね!!特に社会人になったら何か進捗した感が仕事で満たされるので趣味進捗ができないというかなり本質パートと、趣味進捗は必要ですか?はい、の力強さが良かったです。

リスクヘッジとしての趣味進捗というのは考えたことがなかったので、趣味進捗に理由づけを与える点が社会人からなされる心強さみたいなものを感じてとても好きな LT でした。LT としての完成度という観点ではでっていうさんに次いで好きです。

その他

  • Google イ枠が集客パートっぽくザ・宣伝!!という感じで traP 公式ツイートも頑張ってたけど、connpass の客層を見る限り traP OB/OG/現役と界隈のコアな人で構成されており、「Google でイッセンマン稼ぎたいです!」みたいなキラキラした人間が見当たらなかったのが面白かったです。でも常時 70 人前後の接続数なのは流石で、やっぱ日本最強のデジタルサークルだけあるなぁと思いました。
  • temma さんの喋り方と可愛い寄りの声質で、格式張った感じのない LT の入り方で面白かったですね。ゆるさを前面に押し出していてとてもいいなと思います。裏では LT と emoine の機能実装オペレーションで大変だったとのことで、本当にお疲れさまです。
  • LT って労力の割にフィードバックが少ない(まぁなんでもそうですが)と思っているのでこうして僕が感想を書くことでおもしろイベントとして受け取ってもらって何かしらのフィードバックになったらいいなという思いで公開しています。読んでもらえなくてももちろん OK ですが。LT に携わった人みんなえらいしお疲れ様です!
  • kaz さんのスポンサー発表良かったですね!!!!個人的に Showcase を再現しようと頑張って一時期 kaz さんやべー伝説だ〜と思っていたので個人的に伝説のポケモンを見た感じでいい経験になりました。またお仕事の内容もとても面白かったです。僕は退学した以前の大学では建築からスマートホームや自給自足できる街づくりみたいな観点で勉強をしていたので、個人的に今こうしてプログラミングの世界にやってきて両サイドの面白さを感じてささる部分が大きかったです。