たんぽるぽる 雪舟えま 感想

たんぽるぽる (短歌研究文庫)

ページ数はKindleのNo.で計算してます。
そのまま載せていいか分からなかったので … で省略してます

p17 温度の不安定な…

恋人と住んでいる家が安い賃貸で、シャワーをあたたかいにしても微妙に温度が不安定みたいな情景を想像した。こういう東京に出た時のさまざまな不便による心細さ、ひとところに落ち着く前の思い出を感じる。

p18 おんなじパックに…

これかわいくて好き

p20 あのクラビノーバの…

うさぎ。p21もうさぎ。p31もうさぎ。p73も。

p27 逢うたびにヘレンケラーに…

サリバン先生がヘレンケラーに指文字で教える時のように、会うたびに抱きしめてくれる人。それは家族かもしれないし友人かもしれない。きっとサリバン先生がこの世のエネルギーという言葉が伝わるようにぎゅっとしたように、その人は毎回エネルギーとはこういうことだと伝わるように抱きしめるのだろう。
それくらい読み手にとって抱きしめてくれる人は大事で、大事に思っているよと伝えてくれる存在なのだろうと読んだ。

p27 カケハシの天体望遠鏡…

ブルーアーカイブのユウカのふとももは固定資産税がかかるというミームがあるが、それよりも綺麗な形容だなと思った

p32 なんでこうつららは…

これ雪国あるあるで好き

p40 黒板のふたりの名を…

これ学生視点恋愛すぎて大好き。授業で出てきた熟語が、恋人なのか片思いなのか、その2人の名前をくっつけたような言葉に見えて妙に意識してしまう様子とか、昔だったら相合傘的なマークの下に二人の名前を書くような、そんな情景が思い浮かぶ。

p47 一泊で行けるとこまで…

雪虫は東北〜北海道の冬に出る。冬は日が落ちるのが早いから、一泊で行けるところまでというのはそんなに遠くじゃない。でも距離ではなくて、この行けるところまで行こうという心持ちに惹かれる。きっと寒いだろうし暗いだろうし、引き返したくなるけど君がいるなら行けるという感覚も想起される。

p49 すきになる? 何を…

これ好き。正しい道を見ながら私は間違っていると自信を持って突き進んで行ける。その自信の源泉となる好きという感情。

p56 ひかげ ときみは…

この感性僕もそう

p57 マスカラは青く流れて…

まつげ系多くない?

p59 逢えばくるうこころ…

正しさと別に存在する愛というのは、共感を抱いてくれる友達がいないもので、その心は孤独なのかもしれんと思った

p67 人消えて数十秒を…

炎系多くない?

p80 ひとを一から…

これ一番好き。
AことBことなので同一視かなと思って解釈すると、ひとを一から好きになるというのは好きになっていた人と別れてリセットされた状態をさしてそう。それは慣れ親しんだ田舎の商店が無機質に他と区別のつかない自販機になったようなリセットの感覚で、他との区別のつかないものが慣れ親しんだいつでも行けるところになるまでの長い道のりをまた行かねばならない。

p83 世界じゅうのラーメンスープを…

これ発想の勝利すぎる

p104 また仕事やめたいという…

これ好き

p120 大家さんのブルーベリーが…

星座とか星の意味が分からなかったけど、輝き・夫婦で星座を成して意味を成すみたいなのを指してる?

p133 面接へゆかず海まで…

これ大好き。こういう逃避行というか、ちょっとした逃げみたいなものとても好き。きっと人生が上手くいっている時の景色なんて誰にだって同じで、逃げた先に見た景色の特別さにはかなわない。そういう特別さは上手くいってない人に降りてくるものであって欲しい。

p145 いまよりも無力な日々を…

勉強してて机に突っ伏して寝る景色を思い起こす。そういえば昔はこうして勉強しながら寝ちゃってたなと昔を思う時、今は昔よりもちょっとだけできることが増えたなと思う。

p180 変人と思われながら…

普通の人と思われたり、いい人とかちゃんとしている人と思われるよりも、変人だと思われている時の方が自転車を漕ぐ力も軽くて済む。あまり気を入れずに軽やかに人生を走っていける。

p181 スーパーでひっくり返って…

これ2番目に好き
スーパーでおもちゃやお菓子をねだって駄々を捏ねている子に対して、真珠は育つという表現を当てているのがとても綺麗で素晴らしい。実際子供は泣くのが仕事みたいなもんだし、そういう時間はその時は大変であっても、いつか真珠のように少しづつ育つ時間の一部でもあるという美しさ。

p225 オーヴァドライブ

これ好き

p236 ガラスの車

書き手の性格が垣間見えて好き

感想

これ時代的に結構昔なんですが、東京に行く人の感情や情景は時代によらずそんなに変わらないんだなと思いました。
結構前半は好きなやつが多かったかも。後半は難しかった。
ひとを一から… のやつとスーパーでひっくり返って… のやつはかなり好きです。発想とか、読んだ瞬間にパッと情景が浮かんでくるものとか、そういうところからやっぱプロってすごいぞ、読んでよかったな、と思います。