コントロールできない要素へのアプローチ: 偶然に対するスタンス

ここ1年半くらいはずっと日頃の出来事を 2024-10-19.md みたいなファイルに書き込むようにしています。自分の行動をモニタリングしていると、色々なことが見えてきます。

  • やる気は常に充填されているわけではなく、外的要因によって大きく乱高下する。でも内的要因が堅く保たれていれば10日くらいすればすぐ復活する
  • 目標は固定せず見直しによって動く。自分の価値観も動く。大切なことは真に現在の自分の気持ちに従うこと。自己認識を更新する目的の振り返りは時間をかける価値がある
  • 言語化は時間がかかるが、時間をかけなければ自身がステートレスになれずに淀みが溜まってしまう

時間が一定なことにも気づきます。一日を8時間労働・8時間睡眠・8時間自由と分割しても、実際には仕事は長くなる傾向にあるし、自由時間でお風呂に入るなどの人間的な生活をこなす必要があります。結局自由時間は思ったより少なく、その時間をどんな割合で使うかが自身を決定します。

しかし一方で、完全に人生における時間の使い方をコントロールしていく方向に考えていくと、その内訳が自分が想像できる範囲に固まっていき、逆に自分がコントロールできない要素についてはアプローチしづらくなっていることに気づきます。快適なぬるま湯で一方向の研鑽を行っている気持ちになります。

今日は、自分がコントロールできない要素にアプローチするために必要な偶然をどう扱うか、という話をします。

自分がコントロールできない要素

コントロールできないものはたくさんあります。どんな仕事が降ってくるのかは自分で決められないし、彼女が欲しいと思っても誰と巡り会うのかは自分で決められないし、いい感じの技術記事を読みたいと思ってもどんな記事に出会うかは自分で決められないです。

でも、コントロールできないけど漠然とした欲望はあります。いい仕事がしたい。いい人と巡り会いたい。いい知識を仕入れたい。漠然とした欲望は言語化できないくらいに探索が追いついていないこともあります。そういった「良い〇〇が欲しい!」という欲望が運に任せるしかない時を考えたいと思います。

結論: スタンスを決めて、試行回数を増やす工夫をする

コントロールできない要素をどう扱うか?という話についての結論は、今のところ「覚悟を決めて打席に立ちまくるようにする」なのかなと考えています。

サイコロの目を振って1を出したい時、一番素早く1を出す方法はサイコロの振り方を工夫することではなく何度も何度もサイコロを振ることにあるのではないかと思っています。また、サイコロの目のように客観的に確定することは少ないので、人生の局面においてはサイコロの目を振って出た値をポジティブに解釈して正解に持っていく腕力もスタンスとして持っておきたいと思っています。

スタンスを決める

スタンスを決める上で、「計画的偶発性」というキャリアの文脈で語られる言葉が参考になりました。

計画的偶発性とは、キャリアは本人の予期しない偶然が影響することが多いから、ゴールに固執してチャンスを逃す方が損をするという主張に基づき、計画的に偶然をつかんでいくようにキャリアを設計すると良いという考え方です。
その中で行動特性として5つの心構えが挙げられています。

  • 好奇心: さまざまなことに興味を持つことでキャリアに影響する偶然をつかみやすくする
  • 持続性: 偶然に巡り会えない・偶然をつかんでもうまく活かせないことがあっても諦めずに偶然をつかもうとし続ける
  • 楽観性: 変化をポジティブに捉える
  • 柔軟性: ゴールへのこだわりを持たず、柔軟に考えて行動する
  • 冒険心: 偶然をつかんだ結果が不確実であっても飛び込む心を持つ

環境の変化や、コントロールできない要素についてサイコロを振った時に出た目に対して解釈をする際にこの辺を意識して自分のスタンスを決めると物事が好転することが多いように思います。

試行回数を増やす工夫をする

スタンスを決めても、出た目を良い方向に解釈できることばかりとはいかないので、絶対的に良いサイコロの目を引きにいきたいこともあります。そして、それは試行回数を増やすことで達成されます。

色々試してみて、今のところこれはそうだなあと思ったものを書きます。

試行回数を増やす: 1回あたりの試行を軽くする

似ている話として、「1つの仕事は早く終わらせる」があります。
仕事を丁寧に時間をかけてやることが大切なこともありますが、基本的には運要素が大きいフィールドでは速度を取っていったん終わらせてから改善を重ねるフェーズに持ち込む方が良いと考えています。

人生の中で仕事にかけられる時間には限りがあります。その中でいくつか自分のキャリアを前進させたり、自分が満足行くような仕事をしたいと思ったとしたとしても、実際には周りの環境や降ってくる仕事の内容に左右されることが多いです。そこで丁寧さを発揮しているうちに環境が変わって役に立たないものに取り組んでいることになることもあります。そのため、必要とされているうちに速攻で仕事を仕留めに行くことが大切になる場面もあるなと思います。

例示したようなことは他の場面でも言えて、試行の一回を軽くすることが試行のハードルを下げ回数を増やすことにつながると考えています。試行中に環境が変化して試行が無駄になることも防げる。

試行回数を増やす: とりあえず決め打ちして行動に移す

情報がテーブルに出揃っている場合のみAかBかの2択で悩むことに価値があり、情報が十分でないならとりあえずAを選んで試行して観測し情報を集める方が良いという話です。

例えば、技術の本を選ぶ時に評判を見たり感想ブログを見て選定をするよりも、雑にAmazonで一番上に来てるやつを読めば良いみたいな感じです。蓋を開けてみないと分からないコントロールできない要素に対しては、とりあえず行動してみることで判断の根拠となる情報量が増えます。選択というのは多くの場面において決定的にその後の動きを左右することはなくて、消費するエネルギーに対してコスパが悪いです。雑に選択して行動に移してテーブル上の情報を増やすこと、選択にかかるエネルギーを減らしてその分を行動後の判断に使う、みたいなムーブを心がけたいと思っています。

まとめ

コントロールできない要素に対しては、解釈と試行回数で立ち向かう

参考文献