生産性向上を考える前の、「改善」についての自分の考え
生産性向上ってなんだろうというのをここ3年ほど真面目に考え続けていて、その前段に「改善」があるのではないかということに思い至りました。
そこで今回は、心構え的な側面から「改善」にまつわる考え方を整理して、自分なりにまとめてみようと思います。
現状に慣れて価値観が形成される
よく言われる言葉に「新卒で入った会社はその後の社会人人生の価値観のベースラインになる」というのがあります。だから、たとえ転職するのが比較的簡単な業界でも、新卒で入る会社はよく選んだ方がいい、みたいな文脈ですね。
僕は新卒で入ってこの春で4年目に入るのですが、これは正しいなと思っています。真面目に会社の中で行われる様々なイベントを追いかけていると「会社とはこういうものか」というのが身についてきます。それは慣れであり、形成された常識が価値観となります。他社の友人と話すと驚いたり驚かれたりすることから、こうして身につけた常識は偏ったものも含まれるのでしょう。「常識とは、その人がその歳までに身につけた偏見のコレクションだ」という言葉が頭をよぎります。
そうして会社とはこういうものかという具体的なケースを自分の中に大量に蓄積していくと、だんだん「ここはこうした方がいいのでは?」みたいなものが見えてきます。それは大きな方針から身の回りのチームでの開発プロセスに至るまで大小様々なレイヤーで見えてきます。適切な場所で提案したり、社内の友人に愚痴ったりすることでそれらの感情の行き先を見つけます。とはいえ、慣れてきて価値観が形成されて順応してくると、そうした「ここはこうした方がいいのでは?」という気持ちは薄れていきます。
人は慣れるのです。コンテキストを頭に蓄積させて価値観が形成されるにつれて、改善点を見つける能力は落ちていきます。特にうちは人も環境も仕事もとてもいい場所なので、なおのこと満足してしまいます。
心地良い状況が楽だとは思わないし、不安な状況が絶望的だとも思わない
満足した最高のチームで最高の仕事!めでたしめでたし〜とはならないのがお仕事の難しさです。状況は様々に変化するので、そこに向き合ってチームも、自分も変化していくことが求められます。
ほぼ3年も働くと、様々な状況を体験します。のほほんと仕事していたり、もう無理だろみたいな状況になったり、新しい展開を求めてもがいたり…そうした様々な状況を体験すると変化に対する耐性がつきます。初めて不安を感じた時はそれは大変だったのですが、今となってはまあそのうちなんとかなるやろ、と思うことが多いです。心地良い状況が楽だとは思わないし、不安な状況が絶望的だとも思わない。そう思うようになりました。
少し強い主張ではあるのですが、僕は改善点が見えなくなったらそこで安定して終わりだと思っています。改善とは、現状を疑って最適だと思うその一手先を指し示す心構えだと個人的に考えています。それは常に自分に「この開発プロセスって最適なのか?」「チームの向かう方向ってこれでいいんだっけ?」と問い続けることにつながります。結果的に改善は脳内CPUの動きにオーバーヘッドをかけるようなもので、正直疲れます。でも疲れて思考を止めるとき、改善を諦めることになるので大事な時は頑張ってこのアンテナを張ります。あと、自分が改善点を思うこととそれを表に出すことは全くの別物です。いつも改善点ばかり言ってくる人がいたら嫌になるでしょう。のほほんとして周囲に安心感や改善点を言っても良い空気感を与えつつ、改善点を常に探し、適切な場所に相談する。この動きができたらベストです(僕はまだこの境地には至っていません)。
時代の変化による不安への向き合い方
不安な状況が絶望的だとも思わない、とは書きましたが不安を抱えたまま改善をしなければ不安は増すだけなのでちゃんと動きます。心地良い状況が楽だとは思わないし、不安な状況が絶望的だとも思わない、というのは「その時の一時的な状況に左右されることなく改善を積み上げていきましょう」という主張であって、感情を無にして現状を肯定するものではないです。
時代の変化によって、不安になる状況は必ず訪れます。これはもう避けようがなくて、大抵の場合自分の力だけでなんとかできるものは少ないです。中にはどうしようもなかったのに時間が経つといつの間にか解決するタイプの不安もあります。
こうした不安にどう向き合っていったら良いのでしょうか。
現時点で僕が持ち合わせている解は以下の2つです。
- 健康に働き続けよう
- 本質的な問題を探して、そこに対するアプローチを続けよう
1つ目の健康に働き続けようについて、要素としては「一時の過集中パフォーマンスで乗り切れる不安は少ない」「チャンスを味方につける方法はいつでも準備ができていることだ」の2つがあります。
まず、"健康に"というのが大事だと思っています。健康にというのは業務開始時に元気だし仕事のやる気もあるぜ!という状態を指します。不安というのは先ほど述べたように自分の力だけでなんとかできるものが少なく、時間が解決するものもあり、その不安がどのタイプなのかは取り組んでいても案外見えません。そうした不確実な状況で大切になってくるのは健康です。どんな状況でもよしやるぞ!というのが大事です。反対に、不安な状況で一時的に過集中して最大パフォーマンスをぶつけてもすれ違ったりして上手くいかないことが多く、その時に勝手に徒労感を味わって気力を削り健康でなくなるのは避けたい。
次に、"チャンスを味方につける方法はいつでも準備ができていること"について。仕事というのはその性質上タイミングが重要な時があります。同じ仕事をしても、タイミングによって評価が変わることがあります。必要な時に必要なものを提示するのが一番効果が高い。それはそう。そうした背景を踏まえると、タイミングにジャストで合わせることができるようなチャンスが降ってくるのを待つ気持ちも大事だなと思っています。そういう意味で健康に働き続けていつか来るチャンスを狙う方が、一時の過集中で健康でない期間を作ってしまいチャンスを逃す可能性を高めるよりも正しいと思うようになりました。
2つ目の本質的な問題を探して、そこに対するアプローチを続けようについて、これは「射撃しつつ前進」と同じことを言っています。
本質的な問題に取り組むべきです。不安に向き合う時、不安の根本的な原因は最初は分かりません。直観する原因らしきものは的外れなこともあります。なので、本質的な問題を探し続けること、そして周辺の瑣末な問題に取り組まずに、本質的な問題に対してのアプローチに集中すること。この2つが重要だと思います。瑣末な問題に大きく取り組むより、本質的な問題に小さく取り組む方がずっと良くて、その時に時間はあなたの味方になります。
結局、解の2つとも「時間を味方につけよう」という主張です。不安に対しての向き合い方は、時間が自分の味方になるような行動を取り続けるしかないと思っています。逆に本質じゃない問題に取り組んでしまう、みたいな時間が自分の味方にならない行動を取ると一気に状況の打開が難しくなる感覚があります。
終わりに
結論、改善に対する考え方と、健康は大事 & 時間を味方につけようって感じのことを書きました。
改善については結構知識の上でも感覚の上でも掴めてきたのですが、生産性向上についてはいまだに分かりません。分からない部分は、改善→生産性向上に進化した時に「向上」、つまり計測要素が絡むことです。生産性向上はマインドであると同時にサイエンスになるはずで、サイエンス部分が色々やってきてもいまだにしっくりきません。
ただ心構えとしては十分できてるし、実際の動きとしても結構やってきているので、胸を張って改善のプロですと言えるようになってきた気がします。満足はしていませんが。